Top
ムーンショットのロゴの画像
mainvisual1 mainvisual2 mainvisual4 mainvisual3

拡張性のあるシリコン
量子コンピュータ技術の開発

Development of Scalable Silicon

Quantum Computer Technology

News

国際的な総合科学雑誌Nature (2024年2月29日号)に、Nature Focal Point on Quantum computing in Japan特集の一部として、本プロジェクトの記事広告Building silicon quantum computers from opposite directionsが掲載されました。

掲載記事はこちら: https://www.nature.com/articles/d42473-023-00437-6

特集のトップページはこちら: https://www.nature.com/collections/gieejcdceg

ムーンショット目標6:
2050 年までに経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

2025年までに

シリコン/シリコンゲルマニウム(Si/SiGe)の高品質基板を用いて拡張性のある多量子ビットデバイスの作製技術を開発し、小〜中規模量子コンピュータのプロトタイプを実装します。

2030年頃までに

産業との連携による大規模量子コンピュータの開発に適合する、多重量子ビットデバイスの基盤作製技術を開発します。平行して、多量子ビットデバイスの特性評価と量子操作の高忠実度化、位相誤り訂正符号の原理実証を行います。

Members
メンバー紹介

プロジェクトマネージャー

樽茶 清悟 Tarucha Seigo

理化学研究所
創発物性科学研究センター   グループディレクター
量子コンピュータ研究センター チームリーダー

シリコン量子コンピュータは産業技術との互換性や集積性の点で優れていますが、まだ大規模化への展開が見えていません。
本プロジェクトでは、スパースな集積化と中距離量子結合により拡張性のある単位構造を作製し、その繰り返しにより量子コンピュータを大規模化します。2030年までに大規模化に適した基盤技術を開発し、その後半導体産業と連携して開発を加速し、2050年には汎用量子コンピュータを実装します。

樽茶先生の画像

課題推進者

研究開発課題1: 拡張性を有する誤り耐性Si量子ビットデバイス技術の開発

中島先生の画像

中島 峻  Takashi Nakajima

理化学研究所
創発物性科学研究センター   上級研究員

私たちはシリコンデバイス中の単一電子スピンを量子力学的に制御することにより「スピン量子ビット」を実現し、これを用いて量子コンピュータの中核をなす量子プロセッサーを開発します。実用的な量子コンピュータの実現には、誤り訂正を実行可能な高精度量子制御と多数量子ビットの集積を同時に達成する必要があります。 最先端のマイクロ波工学と半導体集積化プロセスを活用し、多数量子ビットからなる量子プロセッサーに拡張可能な技術を研究開発します。

プロジェクトメンバー

中島 峻 理化学研究所 創発物性科学研究センター 上級研究員
樽茶 清悟 理化学研究所 創発物性科学研究センター
量子コンピュータ研究センター
グループディレクター
チームリーダー
武田 健太 理化学研究所 創発物性科学研究センター 上級研究員
小林 嵩 理化学研究所 量子コンピュータ研究センター 研究員
野入 亮人 理化学研究所 創発物性科学研究センター 研究員
Leon Camenzind 理化学研究所 創発物性科学研究センター 研究員
Ik Kyeong Jin 理化学研究所 創発物性科学研究センター 特別研究員
Wu Yi-Hsien 理化学研究所 創発物性科学研究センター 国際プログラムアソシエイト

研究開発課題2: 中距離量子結合技術の開発

藤田先生の画像

藤田 高史  Takafumi Fujita

大阪大学
産業科学研究所 准教授

私たちの研究では、中距離量子伝送路の開発に挑戦しています。この技術で、離れた場所にある量子ビット同士を効率的につなげることが可能になります。
当プロジェクトでは、量子ビットを量子ドットの閉じ込めを保持した状態で電圧により伝送する方法を採用しています。これにより、量子ビットの情報を高速かつ確実に伝達することができます。さらに、今後は伝送路の延長や新しい伝送方式を試みて、より大きな量子システムを構築し、量子ビットの集積化を進める計画です。
私たちの最終目標は、オンチップ量子ネットワークの構築です。このネットワークの実現は、高性能な小規模量子プロセッサー同士をつなぎ、集積化と性能を両立した量子コンピューターへの道を切り開く可能性を秘めています。

プロジェクトメンバー

藤田 高史 大阪大学 産業科学研究所 准教授
Chinnasamy Rajkumar 大阪大学 産業科学研究所 特任助教
湯田 秀明 大阪大学 産業科学研究所 修士課程1年
都築 龍生 大阪大学 産業科学研究所 修士課程1年
千田 健一郎 大阪大学 産業科学研究所 修士課程1年
Alizadeh Ehsan 大阪大学 産業科学研究所 修士課程1年
木田 尚寛 大阪大学 産業科学研究所 学部4年

研究開発課題3: 誤り耐性を満たす同位体制御Si/SiGe基板技術の開発

宮本先生の画像

宮本 聡  Satoru Miyamoto

名古屋大学
大学院工学研究科 特任准教授

量子ビットの単位構造と中距離量子結合の繰り返し実装により拡張性のあるシリコン量子コンピュータを実現するため、結晶材料レベルで誤り耐性を満たす同位体制御Si/SiGe量子プラットフォームを開発します。 量子ビットの単位構造と量子結合を実装する空間スケールで散乱のない超高品質な同位体結晶を実装し、量子制御性の低下を招く同位体界面の制御技術の開発と、大規模実装に対応する同位体基板の結晶評価技術の開発を推し進めます。

プロジェクトメンバー

宮本 聡 名古屋大学 大学院工学研究科 特任准教授
増田 渓人 名古屋大学 大学院工学研究科 修士課程1年
小林 祐紀子 名古屋大学 大学院工学研究科 技術補佐員

研究開発課題4-1: ピコ秒電子波束の生成と電子波束量子ビットの高忠実度制御

山本先生の画像

山本 倫久  Michihisa Yamamoto

国立研究開発法人理化学研究所
創発物性科学研究センター   チームリーダー

本研究課題では、量子回路を伝搬する電子波束を用いた新原理の量子コンピューターを開発します。
量子ビットを電子波束の量子状態で定義し、量子演算回路を設置したループ回路において、電子波束を繰り返し伝搬させることによってユニバーサルな量子演算を実行します。この手法では、冷凍機1台で実現する小さなハードウェアで、実用的な大規模量子コンピューターを構成できる可能性があります。
具体的には、量子性が高い短い電子波束の生成技術の開発と量子ビットの高忠実度操作の実現を目指します。

プロジェクトメンバー

山本 倫久 理化学研究所
東京大学
創発物性科学研究センター
大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター
チームリーダー
教授
小川 直毅 理化学研究所 創発物性科学研究センター チームリーダー
伊藤 諒 理化学研究所 創発物性科学研究センター 特別研究員
David Pomaranski 理化学研究所
東京大学
創発物性科学研究センター
大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター
特別研究員
助教

研究開発課題4-2: マイクロ波電子波束の量子制御と読み出し

高田先生の画像

高田 真太郎  Shintaro Takada

大阪大学
大学院理学研究科 准教授

この課題では、量子回路を伝搬する電子波束を用いた新原理の量子コンピュータを実現するための要素技術として、電子波束の固有状態の制御技術、及び単一の電子波束の読み出し技術の開発に取り組みます。
電子波束の固有状態は通常導波路の幅の制御を通して行いますが、本課題では電子波束の進行方向の閉じ込めを用いた新たな方法の研究開発に取り組みます。また、読み出し技術については電子波束と強く相互作用をする電子スピン量子ビットを用い、電子波束の有無を電子スピンの量子状態に反映させ、そのスピン状態を読み出すことで電子波束の有無を検出する方法の研究開発を行います。

プロジェクトメンバー

高田 真太郎 大阪大学 大学院理学研究科 准教授
Yunseong Jang 大阪大学 大学院理学研究科 修士課程1年